先日、co-med café のイベント
『★当日ドタ参歓迎★ 在宅ケア医が語る看取りの真実』
で萬田先生のご講演を拝聴してまいりました。
萬田先生は癌による緩和ケアを集中的に行っている、在宅専門医です。
代表作は『穏やかな死に医療はいらない』
医師3人、看護師8人の「緩和ケア診療所・いっぽ」で医師をされており、月20人を看取っているそうです。
講演について
ご講演では次々と症例が発表されていきました。
それは、普通の講演でよく見る、文章だけのものではなく、
患者さんが亡くなる前に録画された動画や、患者さんが亡くなった後の家族の動画でした。
それは、決して文章では感じ取れないもの、他人の口からは絶対に表現できない、
当事者でしか発する事ができないその人の言葉や口調で聞けるというのは、
緩和の看取り現場を経験していない私にとっては、今までに無い体験でした。
そして、その動画の中には死を泣いて悲しむ風景はひとつもなく、
亡くなった直後でさえ、なすべき事をすべて行った、達成感の様な笑顔で送る家族の姿がありました。
もう、そこには悲しみはありません。
理想的な死に方。
患者と家族の本当の笑顔。
それが次々とスライドに投影されて、
見ている私のほうが、なぜか涙をこらえるのに必死でした。
医療者だから、泣いてはいけない、と先輩に言われて泣かないようにしていたのですが、
先生にその事を話したら、
「医療者だから、泣かないというのは、その時点で患者を下に見ている」
と、言われてハッとしました。
無理して泣かない事は、患者さんにとっては下に見られていると感じているなんて気づきませんでした。
患者と同じ視点に立つには、同じように泣いていいんだ・・・。
と、気づかされました。
また、質疑応答では学生向けの講演なのに、
社会人の私がかなり出しゃばって質問しまくってしまいましたw
学生の皆さんすいません・・・。
反省しております。
でも、お金を払って参加しているからいいか♪
その質疑応答にて質問した内容はこちら
Q、外科医ということで、治療すべき症例はあるかと思いますが、
治療すべき症例と治療すべきでない症例のラインはどこにしていますか?
A、そもそも治療するべきなんて考えは医療者の考えで本人の考えではありません。
本人の考えを尊重するのであれば、「するべき」ということはありません。
すべてを説明し患者自身が選ぶ。それが大切なのです。
自分の家を立てるに、カーテンはこれにするべき、なんて大工さんに言われても大きなお世話でしょ?
それと同じなんです。
なるほど・・・。
するべきというのは、医療者の個人的な考えの押しつけでしかなかったのか・・・。
自分の傲慢さに気づかされました。
Q、家族と本人の治療に対する考え方に初めはギャップが大きいと思います。
本人は苦しい思いをして、治療したくないし、安らかに往きたい。
しかし、家族は少しでも長生きして欲しい。
お互いの意識の溝は最初は深いと思います。それをどうやって埋めるのですか?
A、患者さん本人の話を聴くのはもちろん、患者さんの家族にも十分時間をかけて、家族の気持ちも聴く事。
患者さん本人と家族の考えの違いを理解してもらうために、家族からじっくり話を聞いて、
そして、患者さん本人がやりたいことを理解してもらうことが大切。
これも、ハッとしました。
本人のやりたい事を成し遂げるには、本人だけに話をしていてもダメなのだと。
家族の協力なしには安らかな死を成し遂げられず、それは家族とすることなのだと。
今回の講演会は近年稀に見る、心に響く素晴らしい講演でした。
こんな素晴らしい講演会を開催した、co-med café もすごい。やくたまも、負けてられない!!
頑張るぞい!!
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